面倒だからやりたくない,
と思うことは皆さんあると思います。
その一方で面倒と思いながらもできてしまうこともあるでしょう。
研究によって客観的に真実をとらえられると思いたくなりますが,
人間というフィルターで取り込んだ情報を
人間に理解できるように加工して発信せざるを得ません。
たとえば人間は紫外線・赤外線を見ることはできませんし,
小さいものも肉眼では認識できません。
動物には聞こえる超音波も人間には聞こえません。
同じ人間でも視覚や聴覚には幅もあります。
研究では分析装置で人間が直接認識できないものを
認識しやすいように変換したものを
見せているにすぎない部分があります。
あくまで変換したものなので真実そのものか?
と言われると,
完璧に真実にたどり着けているとは言えないでしょう。
真実が分析装置に依存しているわけないでしょうから。
真実に近づく努力をする必要はありますが,
完全な真実に人間は到達できないことも
同時に認識しておくのが大切だと感じています。
また,そもそも研究をしよう,と思うのが価値観に依存しています。
この時点で完璧な客観性も成り立たなくなります。
研究も価値観の影響をまぬがれないですね。
もちろん理屈や論理の後ろ盾はありますが…。
個人の偏った価値観に固執しすぎないように
自問し続けながら研究していくしかないのだろうと思います。
個人個人で異なる価値観があるからこそ
色々な研究成果が出てくるので
価値観を完全否定する必要もないですね。
特定の価値観にこだわりすぎないのが大事な気がします。
ケミカルエンジニヤリング2014年2月号に解説記事を書きました。
33~37ページです。
今週の月曜日に冊子が私のところに届きました。
出版している化学工業社のページはこちらです。
http://www.kako-sha.co.jp/2014contentschem.html
凝集してしまうナノ粒子を再分散させて使えるようにするための
背圧弁を使った連続プロセスを紹介しています。
ナノ粒子とはその名前が表しているように
ナノメートルオーダーの粒です。
目には見えません。
ナノ粒子は化粧品,薬品,塗料をはじめ
色々な物に使われています。
しかしナノ粒子には凝集しやすいものもあります。
ナノ粒子を作っても使うときには
ナノメートルオーダーのサイズでなくなってしまうこともあります。
ナノの3桁上のマイクロメートルまで大きくなることも・・・。
粒子の性質はその大きさで変わってくるので
凝集してしまうと不都合なこともあります。
医薬品として使う場合は体内に入りますから
非常に危険なことになるかもしれません。
というわけでもう一度ナノメートルオーダーまで分散させて
使える物にしましょうというのがこのプロセスの目的です。
ご興味があればお読みいただければ幸いです。
大学の工学系の図書館にはたいていあるでしょうし,
企業でも購読されているかもしれません。
Amazonでも売っているようです。