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しつけや教育が罪悪感や無価値感の源泉になることもある

安冨歩さんの生きるための経済学(NHKブックス)
「第五章 生命のダイナミクスを生かす」を読むと,
しつけや教育と称して「~であるべき」「~をしないといけない」と
固定観念を植えつけることが,行動を止めたり,
行動を通じた学びを妨げたりしているなあ,
と感じました。

通常は固定観念に外れた場合,叱責されます。
これによって固定観念に外れる行為に罪悪感をもったり,
固定観念に合わせられないことに無価値感をもつようになったりします。
このような感情の中で学びを得ていくことはできないでしょう。

自分で考えた行動で怒られるくらいなら
言われたとおりに動くだけでいいと思ってしまうのも無理はありません。

いわゆる厳しい家庭で育つほどこの傾向は強まりそうです。

安冨歩さんは固定観念の押し付けで相手の学習回路を閉じてしまうことを
モラルハラスメントとよんでいます。

ただこれへの対策を取るのは非常に難しいです。

「~であるべき」「~をしないといけない」と
言ってくれるのはいいことだと
言われる側も思い込んでいるため,
被害にあっているとわかりにくい面もあるからです。

次のリンク先の動画も参考になります。

リンク先の一番上の動画に出てくる話で,
ハラスメントと認定されるには,
・継続的 ・情緒的 ・隠蔽的
という条件が必要なんですね。

教える側のほうが権力が大きくて露見しにくいのも
大いにありそうです。

■IWJ,2014/09/11 【京都】安冨歩教授 集中講義「親鸞ルネサンスとは何か ?親鸞と清沢満之とを導きとする学問の再編成?」四日目(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/168311
(現在はIWJの会員だけ全編をご覧になれます)

固定観念にとらわれずに自分のやりたいことを
やりたいようにやってもいいはずです。

そのかわり,自分に起きる現象を素直に受け止めて
対応する方法を学んで実践していけばいいのです。

『論語』でいう「仁」のダイナミックな学習サイクルの中にいれば,
外から教育を強制する必要はないのかもしれないしれませんね。

せいぜい教育する側ができることは
「仁」の学習サイクルを促すことなのでしょう。
いや,本来ならこのサイクルは自然と回るはずなので
邪魔をしないことのほうが重要かもしれません。